こないだの「EIGHT-JAM aiko特集」(テレビ朝日系・2024年9月15日(日))は結構な神回だったのではないか。aikoの音楽性の本質に迫る発言がかなり多く聞けた。この番組のスタッフはかなりの音楽好きに違いない。見てない人もいるかもしれないので一部文字起こしを載せておこう。全部網羅していないのはご容赦を。
「おんなじ歌詞のメロディー違いの曲がいっぱいある」
安田 パワーワードやキラーワードに対して、たぶん、メロディーのハメ方が素晴らしいと思う。
やっぱ、あの「毎日何回触ってくれているの?」(「愛は勝手」2018年)って言葉って、どう付けたらいいんだろう、っていうのがナチュラルにできてる、っていうんですかね、aikoさんの場合は。
aiko いつも詞先(しせん)なんですけど。詞が、こう、メロディを呼ぶ。
安田 やっぱり、言葉やフレーズが音符を持ってたりするってことなんですかね?
aiko そうですね。「好き」と「嫌い」でイントネーションが違うみたいに、メロディも違う言葉が出てくる。音階が。
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(VTRナレーション)事前にaiko本人が自らあげてくれたのが、歌詞がメロディーを呼んでくれたというこの2曲。
「蝶々結び」(2003)について、aikoは、
サビ(の直前の「抱いて、抱いて」か?)でスゴい転調をするんですけど、それがスゴく気持ちよかった。歌詞の「過去にも」ってフレーズがあのメロディーラインへ連れていってくれたみたいな感じ。
さらに、歌詞を印象的にしたい、という想いがメロディーを生んだ、と語る曲が「ハニーメモリー」(2020)。
「君がいないと味がしない」っていうことを言いたくて、そのフレーズを印象的にしたいと思っていたら、このメロディーラインを呼んでくれた感じ。
そして作詞にも、こんなヒミツがあるそうで(スタジオへ)
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村上 (歌詞を)書きながら添削、整えていくなかで、当然細かい言い回しも変えていったりしていると。
aiko 変えない。
会場 ええ?(騒然)
いきものがかり・吉岡聖恵 メロディーと歌詞がうまくハマらないとかは起きないんですか?
aiko そう…あ、ハメる。
村上 え、メロディーをハメていくんですか。
aiko メロディーをハメていくんです。
丸山 それで複雑なコードになっていくんや。
古田新太 そやな。
aiko そう、なんかいろいろ行きたくなっちゃうんですよ、そう。
会場 ええ…(騒然)
吉岡 そうなんだ…。じゃ、余すところなく歌詞を使うっていうか。
aiko 使う。だいたいなんか、一番くらいの歌詞をバーっと書いて、その言葉で曲を作って、いちおう譜面台にその歌詞を置いておくと、色んなパターンの曲ができるんですよ。で、その中で一番自分がドキッとしたやつを、スタッフの方に聞いていただく。
会場 ほお…(呆然)
サバンナ高橋 じゃ、おんなじ歌詞のメロディー違いの曲がいっぱいあるということ?
aiko あります。
会場 すご…(騒然)
村上 じゃ、(曲作りで)追い込まれたことはないんですか?
aiko あんまないです。
「あんまりビブラートはかけないようにしてる」
吉岡 「Loveletter」(2013年)でなぜビブラートを使わないのですか?
サビの「何度も何度も」は普通、皆ビブラートをかけたくなる。実際ビブラートをかけてしまった方が簡単だが、aikoさんはおそらく地声と裏声のミックスボイスで歌っている。ビブラートをかけないのが潔くてカッコイイと思う。
aiko あんまりビブラートはかけないようにしてるのを、決め事としてあるかもしれない。ビブラートをかけると、伝えたい曲の景色が変わっちゃうんですよね。
自分の曲に対するテーマが「強い」「悲しい」「切ない」、その気持ちをすごい大事にしたくて、ビブラートをつけると広がる感じがして、あんまりかけずに行けるところはかけすに行きたいなと。(言葉を)強く残したくて。
SHISHAMO・宮崎朝子 それってあれなんですかね、きれいになりすぎちゃう、言葉じゃなくて音楽になりすぎちゃう、みたいなことなのかな…違いますか。
aiko そうですね、そうそうそう。
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(VTRナレーション)「うん。」(2018)の歌い方についてaikoは、
すごいハイトーンボイスの曲で、歌詞の「あなたにー」と長く続けるのを、同じ音量で、1本のホースみたいにぎゅっと具が詰まった声が出せるよう一生懸命頑張った。ビブラートを使うと全然違う曲になっちゃうから、気をつけようと思った。
「カブトムシ」はスタジオ3つくらい変えた
吉岡 「カブトムシ」(1999)のレコーディングは過酷な環境だったのでは?
声の感じとかが、切なさでなってるのか、結構、他の曲と比べてややハスキーに聴こえるんですよね。
最後の「生涯忘れるーーー」は1回息になって、ブレスを強調して弱くなったところから、「ことはないでしょう」で強くなってグーッとスゴく長く歌う。常人ではたどり着けない、か細くて高いトーンから、最後は決意したかのように強いところにいく。 当時ってどんな感じでレコーディングしてたのかなって。
aiko めちゃくちゃ過酷でした。「カブトムシ」はスタジオ3つくらい変えてレコーディングしたんですよ。ヴォーカルの音の鳴りとか、そういう、これっていうものを求めて。
村上 aikoさんの中でイメージが合致しなかった?
aiko いやそれが、私はまだこのころってデビューして間もないころで、4枚目のシングルだったので、ちょっといまいち「カブトムシ」がシングルに選ばれた理由とかが分からなかったんです。
でもスタッフの方が「これで行こう」と言ってくださって、レコーディングしたんですけど、みんながみんなで求めている「カブトムシ」の声に行きつかないというか。 気づいたら60、70…80(回)くらい歌っていて。
「カブトムシ」イップスみたいになって、「生涯~」の「い」が出なくなっちゃって。レコーディングのときは必死に歌ってたんですけど、そういう意味もあって声もかすれてきてて、全然何が合ってるのか分からない、必死に歌っているっていう状態。
その後、ちょっと「カブトムシ」が苦手になってしまった。
ほかにも
ほかにも「嘆きのキス」(2010年)の「繰り返し涙が落ちる音を静かに聞いていたあの日」という歌詞の裏話とか。
清さん「本当のラブソング」って、本当に共感しかない!
— いちじく (@q0e2HvUtQ328222) 2024年9月15日
aikoが話した瞬間、嘆きのキスだ!と思った。この歌を聴くと布団の上で泣いていた事を思い出すけど、そうだったとは!アスパラ、明日の歌、蝶々結び…わかる~!と思いながら、聞きたいこと沢山聞けてめちゃくちゃ素敵な番組だった!#EIGHTJAM https://t.co/Vys6TH2XhF
「ばいばーーい」(2021年)の歌詞を書いていたら長くなりすぎて、THE 虎舞竜の「ロード」みたいになったとか。
ロードみたいな長文ばいばーーいの全歌詞知りたいaikoの怒りに任せて書いた全歌詞知りたい❤️🔥
— かっちゃん (@staygold17) 2024年9月16日
SUPER EIGHTの安田くんと横山くんとaikoによる「星の降る日」(2024年)のセッションとかもあった。安田くん、むっちゃ歌うまいというか、音楽に向き合う姿勢が真摯で、ミュージシャンとしてレベル高くてびっくりした。
安田くんのハモリはとても素敵で感動した。指の手術をして大変なはずなのにいつも笑顔で凄い人やと思いました。横山くんもツアーで忙しい中、曲を暗譜してきてくれて休憩の時もずっと練習されていました。
— aiko official🥔 (@aiko_dochibi) 2024年9月15日
安田くんと横山くんとジャム出来て嬉しかったです☺️ありがとうございました♡