新しいDANROのコラムが公開された。少し間が空いたのは編集部の都合。
*JR福島駅周辺で「ふくしまの日本酒」をたらふく飲んで日帰りした話(リンク切れ。再公開日未定)。
今回も無計画、場当たり的な(私の人生そのもののような)旅について、単に時系列で綴っている無芸なコラムだが、いつもながらそれなりに幸運が重なって、おいしいお酒をたくさん飲めた。
そこで現地で飲んだ13種類と、購入した1種類について、酒蔵のウェブサイトと通販サイトのリンク集をまとめた。どれも間違いなくおいしいお酒だったので、安心して購入していただきたい(アフィリエイトは貼ってない)。すでに販売終了しているものもあるが、あしからず。
おすすめの1本は末尾に書いた。なお、福島県内に「豊国酒造」は2軒あり(※1、※2)、磐城壽の鈴木酒造店は浪江町から山形県長井市に移転していること(※3)を注記しておく。
花泉 吟醸(花泉酒造・南会津町)
ロ万(ろまん)でも知られる蔵。米のうまみが感じられるまろやかなお酒。
奈良萬 純米生貯蔵酒(夢心酒造・喜多方市)
東京の名店でも人気のお酒。店のメモには「梨系」と書かれていたけど、それよりはバナナ系のほのかな香りがあった。それから「軽快」とも書かれていたが、意外と濃く、しっかり味わえると言ってもいい。
東豊国 大吟醸 幻(豊国酒造・古殿町 ※1)
豊国酒造は福島県内に2軒あり、こちらは「あずまとよくに」と呼ばれる蔵。ひとくち飲むとスッと淡白な印象だが、空気を入れると花が開いたようにパーッと爽やかな香りが立つ。りんごというか、青りんごというか。
TOYOKUNI 純米吟醸原酒(豊国酒造・会津坂下町 ※2)
もうひとつの豊国酒造。「TOYOKUNI」は焼酎を醸すときに使われる白麹を使っていて酸味がある。同時に個性のあるフルーティな香りが味わえる。飲み口がスッキリしているので女性も好きかも。
土耕ん醸 山廃純米原酒(鈴木酒造店・山形県長井市 ※3)
山廃特有の酸味があり、しっかりした味。磐城壽でも知られるが、浪江町の蔵で酒造りができなくなり、いまは山形県の長井市に移転している。
永寶屋 純米吟醸 備前雄町(鶴乃江酒造・会津若松市)
時間とともに甘みが増す感じが面白い。
玄宰 大吟醸(末廣酒造・会津若松市)
いかにも米を磨き上げたという大吟醸特有の華やかな吟醸香が強い。甘みと酸味のバランスもいい。
陣屋 大吟醸PREMIUM(有賀酒造・白河市)
香りは強いものの、玄宰よりはややまろやかで優しい。強い甘さと酸味は、いちごを連想させるほど。
名倉山 大吟醸(名倉山酒造・会津若松市)
フルーティ大吟醸。後述する名倉山のフラッグシップ商品。
寿々乃井 大吟醸(寿々乃井酒造・天栄村)
こちらもフルーティ。
以上、福島県観光物産館で飲み比べをしたお酒である。
金水晶 特別純米(金水晶酒造店・福島市)
こちらはJR福島駅構内の回転寿司「うまか亭」で飲んだ小瓶。こちらもフルーティだが、重い甘さがないので魚介類によく合った。
以下の2つは、「ふくしま屋台村」でいただいたお酒。もう1つ飲んだ記憶があるが、名前をメモするのを忘れてしまった。
寫楽 酒未来(宮泉銘醸・会津若松市)
会津宮泉や玄武でも知られる蔵。圧巻の美味。
千功成 純米吟醸(檜物屋酒造店・二本松市)
こちらもとてもおいしかった。馬刺しやニシンの山椒漬けが進んだ。
最後の1本は、お土産として買ったが自分で飲んでしまったもの。
名倉山 月弓(名倉山酒造・会津若松市)
さて、おすすめのお酒だが、自分用ということでは、最後にあげたリーズナブルな「月弓」は誰にでも試してみては、といえるお酒だ。
「ふくしま屋台村」で、地元の人が一番飲んでいるお酒は何か聞いたところ、「名倉山(なぐらやま)」と言う。会津出身の女将さんだから地元の贔屓もあるかもしれないと思ったが、これがとても美味しかった。
上に書いてある酒も、当然すばらしく美味しい。ただ、米をかなり磨いて強い香りを出す大吟醸などは、華やかな気分にはなるのだが、ずっとそれを飲んでいると飲み疲れするという人もいるかもしれない。
それらのお酒と比べると、この月弓は、普通という印象なのだが、過不足なく美味しいとしかいいようがない。また、冷やしても燗にしても、変に味が偏ることがないのもいい。そもそも吟醸酒を熱燗して台無しにするわけもないが、月弓は純米酒である。
一番いいのは常温で、練り物などをかじりながら、舌の上に乗せて文字通りちびちびとやっていると、一生こうやっていられるような気分になる。ということは、酒飲みには最高の種類のお酒ということだ。
もう少し特別感のあり、他人と非日常で味わいたいものが欲しいという人には、「TOYOKUNI」や「寫楽」の方がいい。文句なく美味。
念のため断っておくと、名倉山が普通といってもやはり特徴があり、新潟のお酒のように米の味が前面に出た、コクのある「普通」ではない。さりげなく澄んだ甘さと香りのある「普通」で、これは以前から山形から福島にかけての傾向だったと思うが、最近は全国的な流行になりつつある気がする。
また、日本酒というものは毎年味が変わる生き物なので、特に地酒はそれが顕著だ。蔵とか銘柄だけで「おれはこれしか飲まない」とかいうのは、大量生産の全国酒以外では、あまり決めつけない方がいいと思う。